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世界で一番貧しい大統領のスピーチ

2021年09月13日

 

 

 

皆さま、こんにちは。

からだ元気治療院の徳永です。

 

 

国連で有名になった、とあるスピーチをご存じでしょうか。

 

 

その有名になったスピーチをした人物は、ホセ・ムヒカ。

 

 

画像①

 

 

2012年、「持続可能な開発会議」がブラジルの

リオ・デ・ジャネイロで開かれた際に、

ホセ・ムヒカが話したスピーチは、とても衝撃的でした。

 

それまで語られていたスピーチは、「持続可能な発展と世界の貧困をなくすこと」でした。

 

皆が同じことを言います。

 

「先進国を見習おう」

 

「与え・与えられることで裕福になろう」

 

「先進国の成功している部分を参考にマネて世界の貧困をなくそう」

 

そんなことばかりで、根本的な解決につながるような案はでません。

 

会議も終わりに近づいたころ、一人の大統領の番がきました。

 

他の国の参加者は、もう飽きてしまったとばかりにスピーチを聞かず、

隣の人と話を始める人、居眠りを始めている人が目立ちます。

 

この時点で彼のスピーチには誰も興味がない様子でした。

 

しかし彼は、ノーネクタイにとてもラフないで立ちで語り始めるのです。

 

 

■ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てば、この惑星はどうなるのでしょうか

 

■息をするための酸素がどのくらい残るのでしょうか

 

■西洋の富裕社会がもつ傲慢な消費を、世界の70億~80億の人ができると思いますか

 

■そんな原料がこの地球にあるのでしょうか

 

■このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で「みんなで世界をよくしていこう」といった共存共栄の議論はできるのでしょうか

 

■人がもっと働くため、もっと売るために「使い捨ての社会」を続けなければならないのです

 

■悪循環の中にいることをお気づきでしょうか

 

■根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです

 

■そして、改めて見直さなければならないのは、私たちの生活スタイルだということ

 

 

彼が話し始めると、会場は空気が変わり、皆が彼に注目しました。

 

スピーチはまだ続きます。

 

 

■私の言っていることは、とてもシンプルなものですよ

 

■発展は幸福を阻害するのもであってはいけないのです

 

■発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません

 

■愛を育むこと、人間関係を築くこと、子供を育てること、友達をつくること、そして、必要最低限のものをもつこと

 

■発展はこれらをもたらすべきなのです

 

■幸福が、私たちのもっとも大切なものだからです

 

 

彼の約8分間のスピーチの一部ですが、とても心に響きませんか?

 

静まり返っていた国連の会場は湧きあがり、拍手がしばらく続いたそうです。

 

このスピーチは「もっとも衝撃的なスピーチ」と呼ばれ、

同時に彼は「もっとも貧しい大統領」と、呼ばれることになります。

 

しかし、彼は、「私は貧乏ではない。質素なだけだ」と言います。

 

彼が日本に来日した際に銀座に行きました。

人々がたくさん、そして高級店が立ち並ぶ銀座。

 

「なぜ、日本人はブランドショップの広告に外国人を起用しているのですか」

 

車で移動中の彼は言います。

 

「日本人には、日本人の良さがあるのに」

 

「戦後日本は外国に追いつこうと頑張った。しかし、同時に何かを置いてきてしまった」

 

給与の8割を慈善事業に使い、労働者のための住宅をつくり、道路をつくり、

国民とも距離が近く、家族や友人を大切にしている。

 

そんな彼の青春時代は激動です。

 

経済の停滞、インフレ、失業者が増え格差が広がり、

労働者は苦しんでいた時代でした。

 

武力闘争もあちこちで勃発し、彼は警官に撃たれ、投獄されてしまいました。

 

そんな壮絶な体験の後、ウルグアイで解放されました。

 

そのような経験を「寛大な精神」を学んだという趣旨で、大統領になってからスピーチしています。

 

 

■私の人生は恵まれています

 

■社会主義者として闘い、考えたこともなかった「大統領」というアルバイトをさせていただいている

 

■我々の世代は世界を変えようとした

 

■格差をなくすために闘い、つぶされ、砕かれた

 

■でも、私は、まだ夢をみています

 

 

夏の蒸し暑さの残る中、彼のスピーチがモデルになった絵本を娘と読み進めました。

 

日中に比べ涼しくなった外からの風で、時間が経っていたことも忘れるほど読み入ってしまいました。

 

読み終えると、娘からリクエストがあり、公園へ散歩に行きました。

 

道中、彼の素晴らしい言葉を思い出していると、

娘からは夏休みの宿題である読書感想文はどうしたらいいかと対策を聞かれ、

その後、同級生にたまたま出会い、結婚したことを告げられ、

近所のおじちゃんからナスを分けていただき、慌ただしくも充実した一日が過ぎました。

 

しかし、はたして、充実していると言えるのか。

 

彼に聞いてみたい、話してみたいと願いつつ、娘の夏休みと共に私の休日も過ぎていきました。

 

皆さまにも、ぜひご一読していただきたい。

 

とてもおおらかで、ユーモアもある、一人の大統領の言葉を。

 

 

画像②

 

 

 

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